Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりのないあさ
光のない朝
宮本 百合子
Lesen Sie 光のない朝 (ひかりのないあさ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.418 Zeichen · 11 Bildschirme
夜、枕につくと、先のように張合もない睡りがどんより瞼を圧えることはなくなった。頭の中は千の燭台を灯したように煌(かがや)き、捕えられない種々の思いが、次から次へと舞い交した、寝る時にも、起きる時にも、第一おもんの頭に浮ぶのは、どうぞ継母が、異存なく今度のことを承知してくれるようにという、願いである。
父の真吉は手紙を受とると、早速かけつけて来、涙を泛べて悦んだ。そして、心から、
「これからは、おかげさまで、可哀そうに、こいつの運も開けましょう」
といった。継母の意見には当らず触らずにしていた彼は、老夫人に念を押されると、
「異存のある道理はございません。何、あいつなんか」と、言葉を濁した。
「それはそうともね。娘の仕合になることを厭がる阿母(おっか)さんがある筈はないから」
話は、都合よく捗取(はかど)った。そして、いよいよ結納を交すという間際、先方からおもんも真吉も期待しなかったことを云ってよこした。それは、丁度、津田が十日ほど出京する用事を命ぜられたから、ついでに一晩、真吉の家へ厄介になり、緩(ゆっ)くり話もしたいし、式や何かの打合せもしようと、云うのである。