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Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

そうでなくとも好奇の者が、金に糸目を付けることなく、もし潜水夫を潜らせたなら、信玄の死骸のある場所が知れたなら、それから後はどんなことでも出来る。だから絶対に安心とは云えない。

果然、文政年間に好奇の人間が現われて、信玄の石棺を引き上げようとした。

成功したか失敗したか? その人間とは何者か? それは物語の進むにつれて自ずと了解されようと思う。

そうして実にこの事件は、この「八ヶ嶽の魔神」という、きわめて伝奇的の物語にとってもかなり重大な関係がある。したがって物語の主人公、鏡葉之助その人にとっても重大な関係がなくてはならない。

鏡葉之助の消息を一時途中で中絶させ、事件を他方面へ移したのもこういう関係があるからである。

信州諏訪の郡高島の城下は、祭礼のように賑わっていた。

々と湛えられた湖の岸には町の人達、老若男女が湖水を遥かに見渡しながら窃々話に余念がない。

「船が沢山出ましたな」

「二十隻あまりも出ましたかな」

「漁船と異って立派ですな」

「諏訪家の幔幕が張り廻してある」

「乗っておられるのはお武家様ばかりだ」

「お武家様と漁師とは遠目に見ても異いますな」