Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
それをどうして知ったものか九州天草や南海の国々から天帝を信じる尼様達が忍び忍びにおいでなされ、お姫様と力を合わせ殺伐であったこのお城を祈祷十字架聖灯の光で隈々隅々まで輝いている教団と一変させました。つまりお城は十四年の間に亡びてしまったのでござります」
「城は亡びても武士は死んでも俺の許婚の柵は活きてここに住んでいような?」
「はい、ご無事でござります」
「俺はあの女を愛していた。あの女は俺の許婚だ。俺は死ぬほど愛していた。それだのに柵は俺のことを糸屑ほどにも愛していなかった。あの女の恋人は夏彦であった。俺の弟を愛していたのだ。世にも憎い奴輩め! 虹のようなはかないそんな歓楽がいつまでつづくと思っていたのか!」小脇に抱えていた丸い包物を島太夫の前へ突き出したが、「島太夫、十字架の前へ行け、この包物を開けて見ろ!」
「…………」――老人は無言で包物を受け取り龕の前まで歩み寄ったが、そろそろと包物をほどいて見た。男の生首が現われた。既に予期したことである。島太夫は驚きもしなかった。
「見たか。首を。夏彦の首級だ! ……あの晩は天竜の河の面を燐の光が迷っていた。