Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「恥晒らし病とも申されるそうな」――などと悪口を云う者もある。どう云われても葉之助にはそれに反抗する言葉がない。
「噂によれば葉之助という仁は、内藤殿のご家中でも昼行灯と異名を取った迂濶者だということであるが、それが正しく事実ならさような人間を使者によこされた内藤家こそ不届き千万」こう云う者さえ出て来るようになった。
「いやいやそれは中傷で、葉之助殿は非常な武芸者、高遠城下で妖怪を退治し、武功を現わしたということでござる」稀にはこう云って葉之助を、弁護しようとする者もあった。
「何さ、高遠の妖怪は諏訪の妖怪と事異り意気地がないのでござろうよ」などと皮肉を云う者もある。一方若殿頼正は、誰がどのように警護しても、時刻が来れば忽然と抜け出し、城から姿を隠すのであった。そうして日夜衰弱し、死は時間の問題となった。
しかも、葉之助は寂然と、別館に深く籠もっていて、他出しようともしないのである。
ある日葉之助はいつも通り別館の座敷に端座してじっと思案に耽っていた。彼の前には、「水狐族縁起」が、開いたままで置いてある。彼は今日までに幾度となくこの写本を読み返した。そうしてこの中から何らかの光明何らかの活路を発見そうとした。