Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

こう云いながら白法師は内陣の木像の持っている平安朝型の長槍を、手を上げて指差した。

「あの木像こそ他ならぬ窩人族の守護神じゃ。彼らの祖先宗介じゃ。窩人どもの族長じゃ。族長の持っている得物をもって、他の族長を討つ以外には、妖婆を討ち取る手段はない」

云われて葉之助は躍り上がったが、神殿へ颯と飛び込んで行くと、木像の手から長槍をグイとばかりにぎ放した。

二七

……「久田の姥を殺した刹那、お前はまたも呪詛を受けよう。恐ろしい呪詛! 恐ろしい呪詛! 不幸なお前! 不幸なお前!」

背後の方から白法師がこう云って呼びかけるのを聞き流し、鏡葉之助が勇躍して山を里の方へ馳せ下ったのはそれから間もなくの事であった。

彼はただただ嬉しかった。

「憎い妖婆を討つ事が出来る。堕ちた名誉を取り返すことが出来る。呪詛が何んだ、呪詛が何んだ!」

これが葉之助の心持ちであった。

「有難いのはこの槍だ。槍よどうぞ俺のために霊妙な力を現わしてくれ。魔法使いの久田の姥めをただ一突きに突き殺させてくれ!」

これが葉之助の願いであった。

足を早めてドンドン下る。

途中で一夜野宿をし、その翌日の真昼頃、高島の城下に帰り着いたが、故意と城中へは戻らずに、城下外れの旅籠屋で夜の来るのを待ち設けた。