Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

それを掛けている小屋掛けの前で、北山はピタリと足を止めた。

見れば看板が外されてあった。木戸にも人がいなかった。小屋の口は閉ざされていた、どうやら興行していないらしい。

と、一人の若者が、戸口を開けて現われた。元気のないような顔をして、ぼんやり外を眺めていた。小屋者であるということは、衣裳の様子ですぐ解った。

北山はそっちへ寄って行った。

「今日は興行はお休みかね?」何気ないように声を掛けた。

すると若者は北山を見たが、

「へえ、まあそんな恰好で」云うことが変に煮え切らなかった。

「天気もよければ人も出ている。こんないい日にどうして休んだね?」北山は尚も何気なさそうに訊いた。

若者はちょっと眉をひそめた。いらざるお世話だと云いたげであった。でも、渋々とこんなことを云った。

「何もね、休みたかあなかったんで……太夫が一人もいないんでね……で、仕方なく休んだんでさあ」

二六

「ほほう、山男達はいないのかい」失望もし驚きもし、こう北山は大声で云った。「じゃあ山へ帰ったんだね」

「山へ帰ったか里へ行ったか、何んで私が知りますものか」

「で、いつからいないのかな?」