Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
冬という季節は窩人達にとっては狩猟と享楽との季節であった。彼らは弓矢を携えては熊や猪を狩りに行く。捕えて来た獲物を下物としては男女打ち雑っての酒宴を開く。恋の季節肉欲の季節また平和の季節でもあった。そしてまた怠惰の季節でもあった。
雪は毎日降りに降る。
火を焚いて暖を取りみんな集まって無駄話をする。それ以外には用はない。
彼らの話の題材と云えば「宗介天狗」の事ばかりで、彼らにとって「宗介天狗」は誰よりも尊い守り本尊であった。
もちろん白法師の噂も出た。
「部落の平和を破る者だ」
こう云って人々は憎むのであった。――しかし概して冬の間は彼らの部落は平和であった。
深山の夜は更けていた。
空に幽かに月がある。
見渡す限り雪に蔽われ森も林も真っ白である。
と、一点黒い影が雪の上へ浮かび出た。熊か? いやいや人間らしい。しかもどうやら重い物を背中に背負っているらしい。ノロノロ蠢きながら近寄って来る。
ここは八ヶ嶽の中腹である。窩人の部落からは真下に当たる「鼓ヶ洞」という谷間である。正面に絶壁が聳えている。
その絶壁の下まで来ると黒い人影は立ち止まった。
「おい」