Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
やがて薪が尽きたと見えて焚火が漸次消えて来た。
杉右衛門はそれでも身動きさえしない。
間もなく夜がやって来た。嵐の勢いが強まったと見えてヒューッヒューッと鞭を振るような物凄い唸り声が聞こえて来る。
杉右衛門はにわかに立ち上がり、表の方へよろめき行くとガラリと戸を開けて飛び出した。
轟ッと、凄じい風音と共に吹雪が眼口をひっ叩く。山の姿も林の影も一物も見えない闇の空間を、小鬼のような亡霊のような雪片ばかりが躍っている。
杉右衛門はグルリともんどりを打つと、雪の上へ転がった。ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる彼はあたかも狂人のように丘と云わず谷と云わず雪の中を転げ廻る。
いかにも窩人の長らしい、こういう惨酷の方法をもって、彼は自分の肉体を苦しめ、娘に対する思慕の情と同じ者に対する憎悪の念とを痲痺させようとするのであった。
一七
「ヨイショ」「ドッコイ」「ヨイショ」「ドッコイ」
こういう掛け声が聞こえて来た。それは二人の声であって、重い物でも持っているらしい。しかし姿は見えなかった。と云うのは夜だからで、しかも所は八ヶ嶽の天狗の宮の真後ろの崖で、早春のことであったから氷雪が厚く積もっている。