Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「どうだ熊公驚いたか。一度俺に睨まれたが最後トドの詰まりはこうならなけりゃならねえ。アッハハハ、いい気持ちだ。どれ皮でも剥ごうかい」
熊の死骸を仰向けに蹴り返しその前へむずと膝を突くとブッツリ月の輪へ山刀を刺した。と、その時、どうしたものか俄然空を仰いだが、
「お母様!」
と一声叫ぶとそのままグッタリ仆れてしまった。
余り見事な格闘振りに弓之進や北山を初めとし弟子若党使僕までただ茫然と眺めていたがこの時バラバラと駈け寄った。
「北山殿、脈を早く!」
「心得たり」と北山は若者の手首をぐいと握ったが、
「大丈夫、脈はござる」
「それで安心。よい塩梅じゃ」
「あまりに精神を感動させその結果気絶をしたのでござるよ」
「手当の必要はござらぬかな?」
「このままでよろしい大丈夫でござる。や! なんだ! この痣は!」
云いながら北山は若者の手をグイと前へ引き寄せた。いかさま右の二の腕に上下判然り二十枚の歯形が惨酷しく付いている。
「人間の歯ではござらぬかな?」
「さよう、人間の歯でござる」
この時、気絶から甦ったと見え、若者はにわかに動き出した。まず真っ先に眼をあけて四方を不思議そうに見廻したが、