Japanische Klassiker mit Furigana
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へいほうしゃ
兵法者
山本 周五郎
Lesen Sie 兵法者 (へいほうしゃ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.184 Zeichen · 16 Bildschirme
諸方から贈られる進物なども端から人に与え、いかに奇覯のものでも取って置くということがない、……思いかえせばまさしく一日一日死を期したひとの生き方だった。一死奉公のほかになに一つ執着をもたず、いつ死んでも悔いを遺さぬ生き方だった。幾右衛門はいま、あらためてそのことに思い当り、おのれの身にひき比べて心が竦むように感じた。「……かのなにがしはなかなかみどころのある男だった」光圀はやがてしずかに続けた、「けれどもまだ我執がとれず且つおのれの会得した兵法にとらわれていた、いつでも身命をおれに呉れるとは云った、おそらく、その言葉に偽りはなかったであろう、しかしそれはそう覚悟していたというに過ぎない、はじめ不意に池へ突き墜したとき、ゆだんだなとおれが云った、兵法にとらわれていたかれはそのひと言で性根が外れたのだ、それで二度めには突き墜されながら、おれの袖へ小柄を縫いつけた」「…………」「まことにかれが光圀へ身命を捧げているのなら、抜きうちに斬られても手出しはできぬ筈である、それが――ゆだんだな、という僅かひと言のために心昏み、主従の分を越えておのれの兵法についた、しかもその事に対して些かも疑いをもとうとしておらぬ」