Japanische Klassiker mit Furigana
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きかくとさんぞくととのさま
其角と山賊と殿様
山本 周五郎
Lesen Sie 其角と山賊と殿様 (きかくとさんぞくととのさま) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.948 Zeichen · 10 Bildschirme
「破笠、破笠ちょっと起きてくれ」
と友達を揺り起した。
「おれは全体どうしてここに寝ているのだ」
「何を寝呆けているのだ」
破笠は眼をこすりながら、
「ひどく酔って帰ってきて、家の前のところでぶっ倒れたじゃないか」
「何刻頃のことだ」
「大分おそかったぞ、何でも浄願寺の鐘が九つ(十二時頃)を打って暫くしてからだった」
「一人で帰ったのか」
「そうさ」
其角はうーんと唸った。
あの山塞をどうして脱出したろう、どうして生贄にならずに済んだろう、それともあれは何も彼も夢か。
――分らない。
破笠が訝しがって、どうしたんだと訊いたが、話したところで信じてもらえるものでもなし、其角は黙って横になった。
それから三日後のこと、其角は芭蕉の家で偶然四五人の客と同座した。柳田出雲守、倉持但馬守の二人は顔見知りだったが、あとの二人は初めての客だった。
すると未知の客の一人が、
「こういうのを一句、最近得たのですが」
と言って筆紙を取り、すらすらと一句認めて芭蕉に差出した。芭蕉は暫く口の内にその句を誦していたが、
「どうだ」
と言って其角に渡した。
「拝見致します」
其角は膝を正して受けた。