Japanische Klassiker mit Furigana
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にとせろうじん
再度生老人
佐左木 俊郎
Lesen Sie 再度生老人 (にとせろうじん) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.770 Zeichen · 14 Bildschirme
「爺様。寒くねえんですか?」
私の父は、彼が湯から出て、また炉傍に座って身体を揺り始めた時、やさしいいたわるような声色で訊いた。
「寒い。寒いが、着物がないから仕方がない。」
再度生老人は、笑いもせずに、真面目な顔で言った。
「そんでも、襖の絵でも描いたら、着物の一枚や二枚は、すぐ出来るだろうがね。」
「それはそうだ。けれども、そんなことを思っていては、ろくな絵はかけんからのお!」
言いながら再度生老人は、白い煙のような頤髯を撫でた。
私は、そんなことを思うと、どうしてろくな絵が描けないのだろうと思った。そんなはずは無いようにも思ったが、この老人の言うことに、間違いは無いようにも思われた。
「わしに、煙草を御馳走してくれるかな。」
再度生老人は、私の父に言った。
「さあ。どうぞ、どっさり……」
父は煙管を拭いて彼に渡した。
「わしは、煙草を買う金もないほど貧乏しているのじゃ。しかし、それは苦にならん。わしは、立派な絵を残せればいいのじゃ。あの和尚のような生活は、わしは厭じゃ。」
彼は、ぱふりぱふりと煙草を燻らしながら、和尚の生活の淫らなことや、吝で、彼には卵を食わせないこと、煙草も買ってくれないことなどを話した。