Japanische Klassiker mit Furigana
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こごえるおんな
凍える女
小川 未明
Lesen Sie 凍える女 (こごえるおんな) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.949 Zeichen · 20 Bildschirme
けれど頭髪の中に落ちたものや、襟元に溜ったものは、その儘白くなって、体の温味で解けかかった。圃に取り残された菜の葉の上にも、白くなってたまった。また地面にも、下駄の跡がつく位に白くなってたまった。
「夜は、雪だぞ。」といって爺さんは、炬燵の中にもぐり込んだ。婆さんは、起って勝手元へ出て、夕飯の仕度にとりかかった。青い烟は、するすると窓から流れて出て、寒い風に消されている。
三人のものは、暗くなりかかった窓の処に立った。障子戸を半分開いて、其処から、雪の降っている外を眺めていた。
「もう、一寸位になったろう……。」
「今頃、おあいさんは、山越して行けるだろうか……。」
「まだそんなに遠く行けまい。」
いつしか風は止んで天地は静かになった。而して、寒気は次第に加わって、雪は大きく綿を断ったように、ぽたり、ぽたりと沈黙の空気の裡に、音を立て降って来た。
「夜になるだろうのう……あの山越える時分には……。」
と、令一は、雪に、暮れかかっている空を見詰めながらいった。汽車の笛の音が遠くで、雪のために微かにしゃがれて聞えた。
指の頭が赤くなって、寒気は加わった。ランプの火は、凍えたように硝子のホヤの中に紅く点って、いつもよりか冴えて清らかになって見えた。