Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こごえるおんな

凍える女

小川 未明

Lesen Sie 凍える女 (こごえるおんな) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.949 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

老婆は、起きて、ランプを手に持って勝手許に行った。

家の内を占領している空気も、肌には氷のように冷かになって触れたのである。老婆は、しんとした勝手許に出て、ランプを棚の上に載せて、下駄を穿いて戸の傍に立ち寄った。外では、暴風に、圃の木立が口笛を吹くように鳴っている。

而して、壁板に来て、衝き当る吹雪の音が怖しく、凄まじかった。

「どなたですか……。」と老婆はしんばり棒に手を掛けていった。

「早く、あけて下さい。わたしです……。」と、女はいった。

老婆は、おあいさんかと口に言おうとしたが、心に他の暗愁が萌して言葉を出さずにしまった。凍り付いた戸をガタピシさせて五寸許り開くと、寒い風に、粉のような雪が混って顔に真面に吹き付けた。老婆の体は、いつしか温みが消えて、外界と同じく冷え切っていた。

黒い合羽には、雪が白く斑となって凍りついているのを頭から被って、足には足袋も穿かずに片方だけしか草履も穿かない女が幽霊のように身をすぼめてもぐり込んだ。而して、物を言わずに其処に立竦んでしまった。もう、気力が衰えて、がっかりとしてしまったのである。老婆は、怖れと、寒さに自分も慄えていた。