Japanische Klassiker mit Furigana
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こおるアラベスク
凍るアラベスク
妹尾 アキ夫
Lesen Sie 凍るアラベスク (こおるアラベスク) von 妹尾 アキ夫 (せのおあきお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.278 Zeichen · 20 Bildschirme
この工場を起して今年で五年になります」
「精神病者としての兆候は?」
「宮地君が発狂したのは、余りに製氷に熱中したからだろうと思うのです。その熱心は次第に烈しくなって、ことにこの二ヶ月以来と云うものは白熱的で、そばで見ていられないほどでした。氷の前に立った宮地君は、まるで宝石の前に立った宝石屋のようでした。また実際宮地君は氷を宝石とでも思っているらしく、光線を受けて奇妙な光を発する複雑な角度を持ったいろんな氷を作って楽しんでいました。一時間も二時間も氷の前に立って、黙って見つめているようなことがよくありました。それに神経が非常に鋭敏になりまして、工場の男が鋸で氷を切っていると、その音を聞くと自分の体を鋸で切られるようだと云って、急いで逃出したこともあるぐらいです。以前は私と一緒にこの事務室で事務を取ることも多かったのですが、最近では午前中は工場で氷をつつき、午後になると毎日かかさず散歩に出て、街をぶらぶら歩いていました」
一通り話を聞くと、警部と巡査は、暮松に案内されて、建物の中を見て廻った。建物は狭い事務室、大きな工場、銀三の部屋、銀三の世話をする老女中の部屋、台所、浴室の六つに区切られている。