Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こおるアラベスク

凍るアラベスク

妹尾 アキ夫

Lesen Sie 凍るアラベスク (こおるアラベスク) von 妹尾 アキ夫 (せのおあきお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.278 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

「散歩?」

耳を疑うように勝子が問いかえした。

「ええ、散歩についやしているのです」

「なぜ?」

「なにも考えず、街をぶらぶら歩きながら、通りすがりの人の顔を見るのが私の道楽なのです。私は絵を見るよりも骨董品をつつくより、いろんな人の顔を見て歩くのが好きなのです」

「まア!」

おどろいたようにこう云って、彼女はくすくす笑うのであった。

が、男は彼女が笑うのには頓着せず、低い力のこもった臆病げな声で続けた。

「日本人の顔も悪くはないが、本当に陰影があって面白いのは外国人の顔です。ことに白人や印度人の顔はいつまで見ていても倦きませんね。そこへ持って行くと、日本人の顔は未製品です。深味がない。日本人の顔よりまだ支那人の顔の方が面白い。少くも日本人のように、かさかさしていなくて、油を塗ったような丸味があるです。それは丁度、日本の焼物と支那の焼物の差と同じですね。私は明るい顔は好きですがいつも冷笑を浮かべた狡猾な顔は好きません。日本人にはそれがよくあるです。それよりも寧ろ陰気な淋しい顔の方が真面目で気持がいいと思います」

「失礼ですが御用事と云うのはなんでございますか? あたし、早く帰りたいのですけれど――」