Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
Lesen Sie 凡人伝 (ぼんじんでん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.944 Zeichen · 202 Bildschirme
「然うさ。同僚の家で始終世話になるから、娘さんへお礼にと思いついたんだ」
「へ」
「何だい?」
「お礼を言わなくて宜かったよ。土産と言うから、僕のところへ持って来たのかと思った」
と野崎君は笑った。
「君のところへも持って来たよ」
と私は万年筆を出した。自分のを買う序に思いついたのだった。
「これは面白い」
「何うして?」
「万年筆の鉢合せだ」
「誰かに貰ったのかい?」
「いや、僕達商館にいるものは舶来のを無税で取寄せる」
「密輸入かい?」
「何あに、彼方へ行って帰って来る人間に頼むんだ。君と赤羽にやろうと思って頼んで置いたら、この間着いたんだよ」
「ふうむ」
「最新式の上等品だぜ」
と野崎君は机の引出から取出した。
「これは好い」
「此方で買うと十円からするよ」
「有難い。案外人情味があらあ」
と私は受け納めたが、買って来た二本の始末に困った。
「そんな和製は仕方がないよ」
と野崎君は遠慮なく貶しつける。
「しかし両方で万年筆を買ってやろうと思ったところが宜いじゃないか?」
「一種の美談だろう」
「僕は志丈け通じて品物を出さないんだから徳をした」
「和製の志あり。舶来の志あり」
「君の方が上かい?」