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Japanische Klassiker mit Furigana

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きりすてごめん

切捨御免

坂口 安吾

Lesen Sie 切捨御免 (きりすてごめん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.731 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

一人の方はヒゲがあって、非常に特徴のある人だから、ハッキリ記憶に残っているが、一人の方は、平凡な、好人物らしい青年で、どうしても、シカとわからぬ。翌日、路上で、その人物らしい人に会った。先方も、私を意識している様子で、ハテナと思ったが、どうしても、私には断定がつかない。そして、スレ違ってしまった。それが二時間にわたって対談したその翌日の出来事なのである。

帝銀の場合に於ては、たかだか十分ぐらいのことであり、私が税務署を意識する如き特別の関心をもって、銀行員たちがこの犯人に注意をさしむけていたとは思われないのである。

まして、それから半年以上の月日がたち、しかも、多数の意見を寄せ集めた似顔がつくられ、個々の意見の上に色々と他からの影響が作用して、記憶は混濁しているに極っているのだ。したがって、自分ではハッキリ記憶したつもりの顔が、実はその多くが後日他からのハタラキで修正附加した部分が多いのだから、イザ実検となって、断定し得なくなるのは当然なのである。自分でハッキリ記憶が残っていると信じ得るだけ、むしろ、他からのハタラキが多いのだと言い得るであろう。