Japanische Klassiker mit Furigana
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しょとうのにっきから
初冬の日記から
寺田 寅彦
Lesen Sie 初冬の日記から (しょとうのにっきから) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.930 Zeichen · 20 Bildschirme
それをひねくり廻している矢先へ通りかかったのが保険会社社長で葬儀社長で動物愛護会長で頭が禿げて口髯が黒くて某文士に似ている池田庸平事大矢市次郎君である。それが団十郎の孫にあたるタイピストをつれて散歩しているところを不意に写真機を向けて撮る真似をされたので平生妻君恐怖症にかかっているらしい社長はこの靴磨きを妻君からわざわざさし向けられた秘密探偵社の人とすっかり思い込んでしまってこの実はフィルムのはいっていない写真機の買収にかかる。これは自分達の器械じゃないからと靴磨きが正直に弁解するのを、巧んだゆすりの手と思い込んでますます慄え上がりとうとう二百五十円まで奮発する。そうして社長に売渡した器械の持主があとから出て来たのには実価以上の百円やって喜ばせて帰して、結局百五十円の純益金を得る。それをもって根岸の競馬に出かけるのである。競馬であてて喜び極まったところを刑事につかまったのが可哀相な浅岡である。刑事がここまで追跡する径路は甚だ不明であるが、つかまりさえすればそんなことはこの芝居にはどうでもよいので、これですっかり容疑者被告を造り上げる方の仕事が完成した訳である。