Japanische Klassiker mit Furigana
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はつこい
初恋
矢崎 嵯峨の舎
Lesen Sie 初恋 (はつこい) von 矢崎 嵯峨の舎 (やざきさがのや) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.226 Zeichen · 39 Bildschirme
を起して、そこで往くまいと決心して誓いまで立てたが,さて人情は妙なもので、とんと誰か来て引っ張るようで、自然と自分の体が動き出して、知らぬ間に娘のいる座敷の前まで来た。唐紙は開いていた,自分は座敷の方を向きもしなかッたが、それでいて、もウ娘が自分を見たなと知ッていたので,わざと用ありそうに早足で前を通り過ぎ、そのくせ隣座敷の縁側で立ち止まッて、柱へつかまッて庭を見ていた。すると娘のいる座敷で誰か立ち上るような音がしたが、すぐその音が近づいて来た、自分の胸はときめいた,注意はもウその音一ツに集まッてしまッて心は目の前にその人の像を描いていた,その人の像はありありと目の前に見えるのに、その人は自分の背へ立ッて、いたずらな、自分の頸毛を引ッ張ッて,
「秀さん、いい物をあげるからいらッしゃい」
「いい物?」いい物とは嬉しい、と思いながら、嬉しさにほとんど夢中となり、後に続いて座敷へはいると紙へくるんだ物をくれた,開けて見るとあたり前の菓子が嬉しい人から貰ッた物、馬鹿なことさ、何となく尊く思われた,破さないように、丁寧に、そっと撫でるように紙へくるんで袂へしまうのを、娘はじッと見ていたがにッこりして,