Japanische Klassiker mit Furigana
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はつこい
初恋
矢崎 嵯峨の舎
Lesen Sie 初恋 (はつこい) von 矢崎 嵯峨の舎 (やざきさがのや) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.226 Zeichen · 39 Bildschirme
が,いつ眠ッたかそれも知らず心地よく眠入ッてしまッた。
自分はこの時からというものは娘の貌を見ている間、その声を聞いている間、誠に嬉しくまた楽しく、ついうからうからと夢の間に時を過していた。こうはいうものの娘がいないとて、夢いささかふさぐなぞということはなかッた。何を言ッても自分はまだ十四の少年,自分と娘とは年がどれほど違ッていて、娘は自分より幾歳の姉で、自分は娘の前では小児であるということ,また娘はただ一時の逗留客で日ならずこの土地を去る人ということ,自分は娘を愛しているのか、はたまた娘は自分を愛していないのかということ,すべてこれらのことは露ほども考えず、ただ現在の喜びに気を取られて、それを楽しいことに思ッていた,がその喜びは煙のごとく、霧のごとく、霞のごとくに思われたので、どうかすると悲しくなッて来て、時々泣き出したこともあッたが,なに、それだとて暫時の間で、すぐまた飛んだり躍ねたりして、夜も相変らずよく眠ッた。
叔父はわずかに一週りの休暇を賜わッて来たので、一週りの時日はほんの夢の間のようであッた。もウ明日一日となッて、自分は娘にも別かれなければならぬかと、何となく名残り惜しく思ッたが、幸い叔父が三日の追願いをしたので、なお二三日はこちらに滞留していることとなッた。