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Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうがんさぶろうのしょうたい

判官三郎の正体

野村 胡堂

Lesen Sie 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.587 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

思わず眼をつぶって、

「お鶴、待った」

転げるように駆けて行くと、

「アレー」

飛降りて死んだ筈の娘は、必死と深山へすがり付きます、見ると、例の小牛ほどあるブル、お鶴の裾を食えて胸壁から引戻したのでしょう、お鶴の裾にジャレ付いて、脛もあらわに逃げ惑わせて居ります、

「オオ危ない、今度はブルに助けられたか、よしよし……そんな馬鹿な考えを起してはいけない、いいか、お前は石畳より犬の方が怖いから助かったんだ、おれ達の生れた村には、犬というものも、猫というものも居ない」

深山は娘の背をさすり乍ら、ホッと太息をもらしました。

「いいか、よく聞くんだよ、あの山の中の村から出て来なければ、おれもお前もこんな苦労はしない、おれ達は、あの山の中の三軒家に閉じ籠って、何十年も、何百年も、食って寝て、静かに世を終ればよかったんだ。お前と生れぬ先からの許嫁だというのを満更知らないではなかったが、つい自分の少しばかりの智恵に引かされて、東京でどうかして見ようと思ったり、先方の食えない腹の中がよく判って居るくせに、男爵の婿になっても悪くない、と一度でも思ったのがオレの迷いだったよ、勘弁してくれよ、なアお鶴」