Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

他の室に戻ってから、

「また来るよ。君の家は何という家?」

「家は沢村といえば分ります。……あゝ、それから電話もあります。電話は浪花のね三四の十二でしょう。それに五つ多くなって、三四十七、三千四百十七番と覚えていれば好いんです。」と立ちながら言って疲れて、顳の辺を蒼くして帰って行った。

私は、何だか俄かに枯木に芽が吹いて来たような心持がし出して、――忘れもせぬ十一月の七日の雨のバラ/\と降っていた晩であったが、私も一足後から其家を出て番傘を下げながら――不思議なものだ、その時ふと傘の破れているのが、気になったよ。種々な屋台店の幾個も並んでいる人形町の通りに出た。湿とりとした小春らしい夜であったが、私は自然にふい/\口浄瑠璃を唸りたいような気になって、すしを摘もうか、やきとりにしようか、と考えながら頭でのれんを分けて露店の前に立った。

その銭が入ったら――例の箱根から酷しくも言って来るし、自分でも是非そのまゝにしている荷物を取って来たり、勘定の仕残りだのして二三日遊んで来ようと思っていたのだが、私はもう箱根に行くのは厭になった。で、種々考えて見て箱根へは為替で銭を送ることにして、明日の晩早くからまた行った。