Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

女に訪ねて来られると、一寸具合が悪いからねえ。屹度変るから変ったらお出で。」

すると、「宮ちゃん/\」と、女中の低声がして、階段の方で急しそうに呼んでいる。

二人は少しはっとなった。

「何うしたんだろう?」

「何うしたんだろう? ……」二三秒して、「えッ?」と女中に聞えるように言った。「一寸行って見て来る。」

お宮は、そのまゝ出て行った。

四五分間して戻って来た。「此の頃、警察がやかましいんですって。戸外に変な者が、ウロ/\しているようだから何時遣って来るかも知れないから、若し来たら階下から『宮ちゃん/\。』ッて声をかけるから、そうしたら脱衣を抱えて直ぐ降りてお出でッて。……ちゃんと隠れる処が出来ているの。……今灯を点して見せて貰ったら、ずうっと奥の方の物置室の座板の下に畳を敷いて座敷があるの……」

そう言って大して驚いてる気色も見えぬ。また私も驚きもしなかった。

やがて廊下を隔てた隣の間でも、ドシ/\と男の足音がしたり、静かな話声がしたり、衣擦れの音がしたりして段々客があるらしい。

自家に帰れば猫の子もいない座敷を、手索りにマッチを擦って、汚れ放題汚れた煎餅蒲団に一人柏葉餅のようになって寝ねばならぬのに斯うして電灯のついた室に、湯上りに差向いで何か食って、しかも、女を相手にして寝るのだから、私はもう一生待合