Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
」ということが、よく分っているようで、考えて見れば見るほど分らなくなって来た。
私は一度は手を振上げて其の本に「何だ、馬鹿野郎!」と、拳固を入れた。けれども果して書籍に入れたのやら、それとも私自身に入れたのやら、分らなくなった。
私は、ハッとなって、振返って、四辺を見廻した。けれども幸い誰れもいなかった。固より誰れもいよう筈はない。
身体は自家にいながら、魂魄は宙に迷うていた。お宮を遊びに来さす為には家を変りたいと思ったが、お前のこと、過去のことを思えば、無惨と、此処を余処へ行く事も出来ない。お母さんの顔には日の経つごとに「何時までいるつもりだ。さッ/\と出て行け!」という色が、一日一日と濃く読めた。またそれを口に出して言いもした。私も無理はないと知っていた。そうでなくてさえ況して年を取った親心には、可愛い生の娘に長い間、苦労をさした男は、訳もなく唯、仇敵よりも憎い。お母さんで見れば、私と別れたからと言って、そんならお前を何うしようというのではない。唯暫時でも傍へ置いときさえすれば好い。それが仇敵がそうしている為に、娘を傍に置くことが出来ないばかりではない、自分で仇敵に朝晩の世話までしてやらなければならぬ。