Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
そうして右の掌だけ半分ほど胸の処から覗して、襦袢の襟を抑えた。その指に指輪が光っていた。崩れた膝の間から派手な長襦袢が溢れている。
女と逢いそめてから、これでまだ四度にしかならぬ。それが、其様な悩んだ風情を見せられるのが初めてなので、それをも、私は嬉しく美しいと自分も黙あって飽かず眺めていた。
けれども遂々辛抱しきれないで、復た、
「どうしたの?」と重ねて柔しく問うた。すると、女は、
「はあッ」と絶え入るように更に強い太息を吐いて片袖に顔を隠して机の上に俯伏して了った。束髪は袖に緩く乱れた。
私は哀れに嬉しく心元なくなって来た。
戸外を更けた新内の流しが通って行った。
「おい! 本当に何うかしたの?」私は三度問うた。
すると尚お暫時経って、女は、
「ほうッ」と、一つ深あい呼吸をして、疲れたようにそうッと顔を上げて、此度はさも思い余ったように胸元をがっくりと落して、頸を肩の上に投げたまゝ味気なさそうに、目的もなく畳の方を見詰めて居た。矢張り両手を懐中にして。
私は何処までも凝乎とそれを見ていた。
平常はあまり眼に立たぬほどの切れの浅い二重瞼が少し逆上となって赤く際だってしおれて見えた。