Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

お宮は直ぐ後から来て、今晩はまだ早いから、何処か其処らの寄席にでも行きましょう、という。それは好かろうと、菊水の老婢を連れて、薬師の宮松に呂清を聴きに行った。

私は、もうぐっと色男になったつもりになって、蟇口をお宮に渡して了って、二階の先きの方に上って、二人を前に坐らせて、自分はその背後に横になって、心を遊ばせていた。

此間、有楽座に行った時には、此座へお宮を連れて来たら、さぞ見素ぼらしいであろう、と思ったが、此席では何うであろうか、と、思いながら、便所に行った時、向側の階下の処から、一寸お宮の方を見ると、色だけは人並より優れて白い。

その晩、

「吉村という人、それから何うした?」と聞くと、

「矢張りそのまゝいるわ。」と、言う。

「そのまゝッて何処にいるの?」

「何処か、柳島の方にいるとか言っていた。……私、本当に何処かへ行って了うかも知れないよ。」と、萎れたように言う。

私は、居るのだと思っていれば、また其様なことをいう、と思って、はっと落胆しながら、

「君の言うことは、始終変っているねえ。も少し居たら好いじゃないか。」と、私は、斯うしている内に何うか出来るであろうと思って、引留めるように言った。