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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひみつ

刺青・秘密

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 刺青・秘密 (ひみつ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.935 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

全体これから先何処まで続いているのかしらん。―――そう思って、私は沼の向うの行く手の方を眺めやった。沼と蓮とは眼の届くかぎり何処までも何処までも横わっていて、遥かにどんよりと曇った空に連なっている。まるで暴風雨の夜の大海原を見渡すようである。が、その中にたった一点、沖の漁り火のように赤く小さく瞬くものがある。

「あ、彼処に灯が見える。彼処に誰かが住んでいるのだ。あの人家が見え出したからには、もう直き町へ着くだろう」

私は何がなしに嬉しくなって、アーク燈の光の中から暗い方へと、更に勇を鼓して道を急いだ。

五六町ばかり行くうちに、灯はだんだん近くなって来る。其処には一軒の茅葺の百姓家があって、その家の窓の障子から灯が洩れて来るらしい。彼処には誰が住んでいるのだろう。事によると、あのわびしい野中の一軒家には、私のお父さんとお母さんがいるのではないかしら。彼処が私の家なのではないかしら。あの灯の点っている懐かしい窓の障子を明けると、年をとったお父さんとお母さんとが囲炉裏の傍で粗朶を焚いていて、

「おお潤一か、よくまあお使いに行って来てくれた。さあ上って火の傍にお出で。