Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜんきてんまやけ
前記天満焼
国枝 史郎
Lesen Sie 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.568 Zeichen · 98 Bildschirme
「これは与力でおわしました頃の、先生のお手柄の随一として……」
「いやいや自慢をするのではない。心にかかることがあるからじゃ」
「…………」
「貢の門下にお久美というしたたか者の女がいたが、それをあの際取り逃がしてのう」
「久美なら私も存じておりまする」
「どこへ行ったものか行衛が知れない。……これが心にかかっておる。……引っ捕らえて刑に処せねばと……」
急に矩之丞は別のことを云った。
「二三ヶ月前に入門いたしました、飛田庄介、前川満兵衛、それから山村紋左衛門、ちと私には怪しいように……」
「どういう意味かな、怪しいとは?」
不思議だというように中斎は訊いた。
「隠密などではありますまいかと」
「これこれ」と中斎はにわかに笑い、
「お前は俺の前身を、もう忘れてしまったと見える」
「は、何事でございますか」
「俺は以前は与力だったよ。だからこの俺の塾内に、そのような隠密など入り込んで居れば、観破しないでは置かないはずだよ」
「これはごもっともに存じます」
矩之丞は苦笑した。
部屋内しばらく静かである。
と、中斎は静かに訊いた。
「例の物を平野屋が江戸へ送る、ハッキリした日取りは解って居るかな?」