Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.514 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

革紐の帯をなであげて、左手が、鯉口にふれる。右手が、軽く柄をうつ。

瞬間。

上体が折れる。満身の毛穴から、喉を破って、声が発しる。

一揮、風を断つ。

その時はもう、風か影か、空を一颯した大刀は、彼の腰間の鞘に吸われているのだった。肉眼では、その間の剣のうごきは、見て取れないくらい迅かった。

この行を、彼は、暁天から夕べまで、また、宵から深夜まで、一日何百回、行の熟達につれて、何千回もくり返して行った。

疲れれば、拝殿の破れ廂の下にある、一枚の莚の上に、身を横たえた。眠りから醒めると、すぐ大地に立った。

日の出るたびに、傍らの大杉の幹へ、一太刀、刀痕を入れた。その刀痕の数が日の数であった。

世上良師多し。    世転縹渺の間

師縁求めて求め難し  如かず直ちに神に会わん

上泉伊勢守を訪ねて伊勢守に会わず、塚原土佐守を訪ねて土佐守に師事し得ず、その他、当代著名の人、富田勢源、戸田一刀斎などの、高名を慕い、住居を追う間に、いつか四年の歳月を空しくした甚助は、翻然、

――直ちに神に会わん、

と、悟ったのであった。

自然は皆師だ。一冊の書物に師となることばがあれば、一木一草にも師となる声はあろう。