Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠 (けんきょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.961 Zeichen · 310 Bildschirme
「こう糸を垂れて水面を見ている」
「はい、魚釣りでございますからな」
「水が流れて来て浮子にあたる」
「で、浮き沈みいたします」
「いかにも自然で無理がない……芥などが引っかかると……」
「浮子めひどくブン廻ります」
「魚がかかると深く沈む」
「合憎、今日はかかりませんでした」
「相手によって順応する……浮子の動作、洵にいい」
「浮子を釣るのでもござりますまいに」
「で、わしはその中に、何かを得ると思うのだよ」
「鮒一匹、そのくらいのもので」
「魚のことを云っているのではない」
「ははあ左様で。……では何を?」
「つまりあの業を破る術じゃ」
「は? あの業と仰せられまするは?」
「水品陣十郎の『逆ノ車』……」
「ははあ」
「お、あれは何だ」
その時上流から女を乗せた、死んだように動かない若い女を乗せた、古船が一隻流れて来た。
「東馬、寄せろ、船を岸へ」
「飛んでもないものが釣れましたようで」
若侍は云い云い袴を脱ぎかけた。
が、古船は自分の方から、ゆるゆると岸の方へ流れ寄って来た。
武士は釣棹の柄の方を差し出し、船縁へかけて引き寄せるようにしたが、
「女を上げて介抱せい」
そう若侍へ厳しく云った。