Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そうせいき

創生記

太宰 治

Lesen Sie 創生記 (そうせいき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.374 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

盗汗の洪水の中で、眼をさまして家人の、そのような芝居に顔をしかめる。「気のきいたふうの夕刊売り、やめろ。」夕刊売り。孝女白菊。雪の日のしじみ売り、いそぐ俥にたおされてえ。風鈴声。そのほかの、あざ笑いの言葉も、このごろは、なくなって、枕もとの電気スタンドぼっと灯って居れば、あれは五時まえ、消えて居れば、しめた五時半、ものも言わず蚊帳を脱けだし、兵古帯ひきずり、一路、お医者へ。お医者。五時半になれば、看護婦ひとり起きて、玄関わきの八つ手に水をかけたり、砂利道、掃いたり、片眼ねむって、おもい門を丁度その時ぎいとあけていたり、こんなもの、人間の気がしない。嘘です。あなたの眠さ、あなたの笑い、あの昼日中、エプロンのかな糸のくず、みんな、そのまんまにもらってしまって、それゆえ、小説も書けないのです。おまえに限ったことではない、書け、書け、苦しさ判って居る、ほんとうか! とおもわず大声たてて膝のむきかえたら、きみ、にやにや卑しく笑って遠のいた癖に、おれの苦しさ、わかるものかい。

あかい血、くろい血。これ、わかるか。家人を食った蚊の腹は、あかく透きとおり、私を食った蚊の腹は、くろく澱んで、白紙にこぼれて、かの毒物のにおいがする。