Japanische Klassiker mit Furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lesen Sie 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.262 Zeichen · 243 Bildschirme
「金子でございます。御主人さまに何うぞ」
と僕は尠からず慌てた。次いでお嬢さんと入り替ったのは奥さんだった。これは大事になると思ったけれど、今更逃げ出す次第にも行かない。
「御主人さまにお目にかゝりたいんでございますが……」
「金子何方さまでいらっしゃいますか?」
「金子日出男と申します。お目にかゝれば直ぐお分りになります」
奥さんが引っ込んで、主人が現れた。しかし驚いた。似ても似つかぬ別人だった。
「私が加藤です」
「はゝあ」
「何ういう御用でいらっしゃいますか?」
「これはお門違いでしょうか?」
と僕は今更玄関を見廻した。
「人違いじゃないんですか? 渋川君のところへお出になったんじゃないんですか?」
「さあ」
「渋川君なら今日郷里へ立ちました。何か問題を残して行ったんじゃないんですか?」
と加藤さんは頭の好い人だった。その瞬間、僕は菊太郎君じゃないが、直観が働いた。これは見事引っかゝったとハッキリ分ったのである。
「もうお戻りになりませんか?」
「はあ。当分彼方でしょう。しかしどういう御用件ですか?」
「実は玉の整理です」
「ギョクと仰有ると?」
「新東を買っていらっしゃったんです」