Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

Lesen Sie 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.262 Zeichen · 243 Bildschirme

Aozora Bunko

と先方から声をかけたのだった。

「やあ」

「今頃まで廻って歩くのかい?」

「うむ」

「精が出るんだね」

「仕方なしさ」

「僕は乃木坂の帰りだ。恥じ入った。好い対照だもの、働き者と怠け者の」

「さあ」

と僕は受け答えも碌々出来なかった。

「君、今夜は慎むよ」

「何だい?」

「君が真黒になって稼ぎ廻るのを見ちゃ呑気な話も出来ない」

「構わないよ。遠慮なしにやり給え」

「いや、僕だって店の方を本気にやらなければ冥利に尽きる」

と菊太郎君はいつになく真剣味を見せた。これが二三日前なら、竹光を抜き給えとでも言うところだったが、折が折だったから、僕は心中忸怩たるものがあった。

「本気になって好いんだか悪いんだか分らないぜ」

「今日は動いたね」

「うむ」

「久しぶりで大波瀾だった。何うだい? 景気は」

「いけないんだよ」

「ふうむ」

「大きく引っかゝってしまった、そればかりじゃないんだ」

と僕はつい愚痴になった。失策を匿しているような度胸はない。お客さまに逃げられた経緯を話しながら、不図菊太郎君の横顔を見て、何ういう張り合いか、豊子さんを思い出した。兄妹だから無論似ている。その豊子さんの顔がいつの間にか他の女性の顔に変った。