Japanische Klassiker mit Furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lesen Sie 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.262 Zeichen · 243 Bildschirme
何処かの若い奥さんが時々振り返って僕の顔を見る。僕に興味を持っているらしい。菊太郎君でなくて妻と一緒だったから、うっかり答礼は出来ない。しかし気になるので、弁解のために、
「幽香子や、どうしたんだろうね? あの奥さんは僕の顔ばかり見ている」
と予め自首して置いた。主人が好男子だと細君は心配が絶えない。
「後ろよ」
「何?」
「あなたの二つ三つ後ろよ」
「後ろが何うした?」
「蒲田の男優が二人来ているのよ」
と妻は序をもって見返った。
「ふうむ」
「あなたなんかとは何処か違いますわ」
「成程」
「己惚れちゃ駄目よ。あなたをジロ/\見る女なんかないんですから」
「分ったよ」
と僕は自分の誤解に気がついた。妻がズケ/\言ったのは、丁度好い機会に僕を窘めてくれたのだった。その必要があればこそだ。自信が強いと、何うしても釣り込まれる。始終気が立っている。自分の外には問題になるものがないと思っているから、つい勘違いをする。事情止むを得ない。
当時、僕は豊子さんについても、こういう調子で認識を誤っていたのである。先ずもって大丈夫の積りでいたら、突然お断りを食ったから慌てた。学校の成績が悪いから問題にしないと言う。