Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme
ちょうど同時に、大阪の鮫皮商が、廃刀令出て鮫皮が塵埃同然の下値となり、やむをえず高価絶佳の鮫皮を酢で煮爛らかして壁を塗る料にして售った事もあり。さしも仙薬や宝玉同然に尊ばれた物も一朝時世の変で糞土よりも値が下がる事、かくのごときものあった。往時日本で刀剣を尊んだに付け、鮫皮を鑑賞する事夥しく、『鮫皮精義』等の専門書もあり、支那、ジャバ、前後インド諸国の産を夥しく輸入したが、予先年取り調べてペルシア海の鮫皮がもっとも日本で尊ばれたと知った。而してタヴェルニエーの『波斯紀行』四巻一章に、十七世紀にペルシア人欧州と琵牛の銅を重んじたが最も日本の銅を賞めたとあれば、日本の銅とペルシアの鮫皮と直接に易えたら善かったのだが、当時両国間の通商開けず、空しく中に立った蘭人に巨利をしてやられたのは残念でならぬ。
さて人間に催姙の薬あらば、畜類にもそんな物あるべしとの想像から出たものか、肥前平戸より三里ほどなる生月島に、古来牧馬場あり、かつて頼朝の名乗生嘱を出すという。里伝にこの島に名馬草を産し、牝馬これを食えば必ず名馬を産めど、絶壁間に生える故馬これを求めて往々墜ちて死すと(『甲子夜話』