Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.906 Zeichen · 495 Bildschirme
鹿に全く心取らるれば山の有無も知れぬものだ。我が芸まことに上手なら見物はそれに心取られてわが男の大小などに気付かぬはずだ。我が芸未熟なればこそ男の小さきが目に立ったのだと語るを聞いて、皆人誠に物の上手は別な物と感心したそうだ。
舜は邇言を察したとか。今日書物で読んでさも自分が煉り出したように、科学の学識のと誇る事どもも皆過去無数劫の間不文の衆人が徐々に観察し来った功績の積もった結果だから、読書しない人の言を軽んずべきでなく、未開半開人も驚くべき経験上の知識を持ち居る例多い。お江戸日本橋七つ立ち、初上りの途に著いてから都入りまで五十三駅の名を作り入れた唄を、われら学生の時唄いながら箱根山を下駄穿きで越えて夏休みに帰国したものだ。その内に「上る箱根の御関所でちょいとまくり、若衆の物では受け取れぬ、こちゃあ新造でないかとちょと三島」てふ名句があった。箱根の関を婦女が通るは厳禁で、例せば文政十一年本多近江守長崎奉行勤務中、その足軽島田惣之助は舞袖事たき十九歳、同じく西村新三郎は歌扇事かね二十歳という娼妓を買いなじみ、たきは夫婦約束、かねは身請けされて親元に在たところ、十二年十月男二人とも出立に付き、たき惣之助を慕い駈落してかねに落ち合い、たきは若衆姿に化けて関所を通り、両人とも江戸へ著いた咎で奴にされ、惣之助は