Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.906 Zeichen · 495 Bildschirme
王若い時高名の女嫌いだったが後翻然として改宗し、大好きとなったは初めてパンカステの麗容に目が眩んでからだ。パ、それより王の最愛の妾となり、三千寵幸一身に集まり、明けても暮れても王の涎を受け続けた。それもそのはず、この女天の成せる玉質柔肌、態媚容冶常倫を絶し観る者ほとんど神かと乱れ惑うた。かかる曠世の尤物を無窮に残し拝ますはアの筆のほかにその術なしとあって、その装束を脱いだ体を画かしめた。アその痩せて増すべからず、肥えて減ずべからざる肉付きの妙なるに、心悸臂揺し、茫然自失して筆を落し続け、写生はお流れ、それからちゅうものは日々憂鬱して神定まらず「浅茅ふの小野の笹原忍ぶれど、余りてなどか人の恋しき」てふ態となる。アレキサンダー大王、平生四種の絵具だけで城を傾くるほど高価の画を成すアペルレースも、ただこの一の色をかほど扱いあぐむ心根を不便がり、さしもわが身よりも惜しんだ寵姫を思い切ってアに賜いし、それ自ら制して名工を励ました力の偉なる、ペルシャ、インドの大敵を蹂躪した武功に勝る事万々とプリニウスが頌讃した。上述の嬌女神海中より出現の霊画は実にアがこのパンカステをモデルとして全力を竭し仕上げた物という。