Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.906 Zeichen · 495 Bildschirme
日本でも上杉家の勇将新発田因幡守治長は、染月毛てふ名馬の、尾至って白きを、茜の汁で年来染むると、真紅の糸を乱し掛けたごとし。景勝の代に叛いて三年籠城して討ち死にの時もこの馬に乗ったという(『常山紀談』)。昨年予の方へ紺紫色の雀極めておとなしきを持ち来った人あり。いかにも瑞鳥でわが徳を感じて天が祥瑞を下したと悦び、餌を与うるも食わず、吐息ついて死んだから吟味すると、何か法螺を吹き損わせて笑いやらんと巧んで、白髪染剤で常の雀を染めその毒に中っておとなしく沈みいたと判った。
元禄五年板、洛下俳林子作『新百物語』二に金沢辺の甚三郎という商人、貧しくなり、大黒天を勧請して、甲子の日ごとに懇にこれを祀る。ある時また、甲子に当りて例のごとく燈掲げて一心に祈念するに、何処ともなく大きな白鼠忽然と出でて供物を食う。亭主これを見て大いに悦び、翌日友人を招きこの事を語り酒宴する。友達その白鼠は名のみ聞いて見た事なし、かつは物語の種なれば今宵祈って一目見せたまえというに、亭主諾い、その夜また燈を掲げ、各集り居るに案のごとく白鼠出で来る。人々見るよりアッといいて立ち騒ぐに驚き、この鼠逃げ帰るを見れば常の黒鼠となって去る。