Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
「これ、お豊! 何を云うのだ!」
「旦那様! いいえ隼二郎様」
「お豊、私はお前を愛している。……ね、それだけは信じておくれ」
「妾も、ええ妾もですの」二人の声はここで切れた。
(さて)と貝十郎は苦笑して思った。(この後は抱擁ということになるのさ)
彼の足下には二尺幅ぐらいの、狭い廊下が左右に延び、同じくらいの狭い廊下が、前方へ向かっても延びていた。丁字形になっている廊下の中央に、彼は佇んでいるのであった。その前方に延びている廊下の、右側に大きな部屋があり、部屋の扉が開いているので、燈火と人声とが洩れて来るのであった。数歩進んで扉の口まで行き、そこから内を覗いたなら、内の様子は見えるのであった。内部の一部――床の端だけは、ここにいる貝十郎にも見て取れた。畳が敷いてないのである。板張りになっているのである。
(お豊とそうして隼二郎なのか。……いや、腕の凄い女ではある。あっちの庭では年の下の、美少年と媾曳をしたかと思うと、こっちの部屋では年の上の、金持ちの旦那を口説いている、同じ晩にさ、わずかの時間にさ。……あんな女は都会にも少ない。どうにも俺は田舎が嫌いだ)