Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
接待に来てくれた人の中に、変わった人があったかしら?」
「いいえ」とお豊の云う声が聞こえた。「でも猪之助が来ていました」
「猪之助? おお猪之助が。……あの破落戸が! 執念深い! ……兄の悪口を云っていたであろうな」
「ええ申しておりました」
「去年も来た、一昨年も来た。……普通の日にもやって来て、私を強請ったことさえある。……あいつは誤解をしているのだ。……いやいやいや、誤解ではないが。……お豊や、私は気持ちが悪くなった。お前は向こうへ行って休むがよい」
ここでしばらく話が絶え、やがて足音が聞こえて来た。貝十郎は身を翻えしたが、素早く廊下を右の方へ走り、闇に立って窺った。と、すぐにお豊の姿が、戸口から出て庭の方へ行った。と、庭から驚いたような、お豊の声が聞こえて来た。
「ま、猪之助さん! どうしたのです!」
男の答える声がしたが、兇暴な響きを持っていた。
「退け! 今夜こそ埒をあけるんだ!」
「いけません! ……おお、誰か来てください!」
「敵だ! 畜生め! 親の敵だ! ……待って待って待っていたのだ! ……他国からこの地へやって来て、こんな山の中へ住み込んで! 金……命を取るか、金を取るかと! ……やい、放せ! 埒をあけるのだ!」