Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

ただ、あの人が私へ来たために、云い出すのが早くなったばかりなのです。……だってそうじゃアありませんか。私達の家は何んていうのでしょう。ガランとしていて寂しくて、陰惨としていて墓場のようです。その辺に沢山幽霊がいて、私達を見守ってでもいるようです。大きな屋台骨、暗い間取り、荒れ果てた庭、煤けた階段、陽の目さえ通さないじゃアありませんか。ここにじっとして坐っていると、私は滅入ってしまいそうです。……いえそれよりもっともっと、大事なことがあるのです。それはお母様とお父様なのです。まあどうでしょうお父様と来ては、年が年中離座敷ばかりにいて一度として主屋へはいらっしゃらない。一度として戸外へおいでにならない。庭へさえ出ないじゃアありませんか。その上お母様や私をさえ、はいらせようとしないじゃアありませんか。ええそうです離座敷の中へ。……つまりお父様は狂人なのです。それもひどい人間嫌いの。ところでお母様はどうかというに、猫可愛がりに私を可愛がってお父様へ接近させまいとする。教えることは何かと云うに、じっとしておれ、穏しくしておれ、世間へ出るな、出世など願うな――と云うようなことばかりです。