Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうしまつ
十姉妹
山本 勝治
Lesen Sie 十姉妹 (じゅうしまつ) von 山本 勝治 (やまもとかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.110 Zeichen · 20 Bildschirme
と言うと、たとえ流行ってる間だけでも飼うて助かりたいと言うかも知れんが、そう云う心は、自分一人だけよかったら他の者は構わないって言う心と同じだ。百姓は百姓として働き、それで如何しても食えなんだら、それは、天候と地主と社会全体の責任だから、その時は百姓は一致団結して……」
「ええい、黙まらんかッ、この社会主義奴! 十姉妹は大丈夫やわい、この勢いやったら世界中ひろまる!」
「とにかく、おれはこの理由のもとに、蚕の金なんかで十姉妹飼う事は大反対や」と慎作は断定的に、併し半分はおどけた顔色を忘れずに言った。反射的に、多分祖父は喉で叫んだのだろう、声は出ずに、唇が「何! 何※(感嘆符二つ、1-8-75) 何※」と言う風に動いた。すぼんだゴム風船の様にベロベロ皮膚のたるんだ頸が、驚くほど延びた。慎作は、この一徹な祖父を納得させるだけの言葉を知らない自分が腹立たしかった。いや、自分の思想を如何に噛み易く柔かなものになし得ても祖父の歯牙は、既に区長授与の刹那に於て抜け落ちてしまったのを如何せん……であった。
その夜、父は、祖父と慎作との間で眼の遣り場に困っていた。
「お父っつぁんの様に言うたかて考えもんやぜ、慎作が反対しよるだけやなく、なんぼ流行かて、きっと儲かるもんとはきまってやせんしなあ、……それに、もう遅いわい!」