Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じゅうしまつ
十姉妹
山本 勝治
Lesen Sie 十姉妹 (じゅうしまつ) von 山本 勝治 (やまもとかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.110 Zeichen · 20 Bildschirme
があるか知れんぜ、地主からだいぶ金も出てる様子やから……」
藤本の歪めた唇には、激げしい敵愾心が、冷めたい微笑となって漂っていた。同じ想像と期待に、一座の顔は潮の引く様にすっと蒼ざめて、誰れもが深い溜息をついた。
慎作は、勿論この報告に衝撃を受けた。が、その衝撃が、忽ち火に落ちた錫箔の様に崩折れて、燃えあがるべき反抗心が、雑草を揺がす一戦ぎの風ほどの力しかないのを如何することも出来なかった。一寸ひるがえった心が、直ぐと暗い懐疑と姑息な内省に重くよどんでしまった。慎作は、新らしく刺戟されて炎の様に闘志を沸き立たせて居る同志の前に、深く自分を恥じた。同時に、この心の秘密を持ちつつ、同志と共に嘆き共に憤っているかのように装っている自分に、たまらない憎悪を感ぜずにはいられなかった。やっぱり俺は駄目だ。この刺戟に於てさえ、自分の心は豚の様に無感動だ、俺はいよいよ戦列の落伍者だ。何時、何処で、どうして、あれほどまでに燃えあがっていた意識が、常夜燈の様に消えることのないと信じ切っていた反抗の火が、かくまで力弱くされたか自分ながら不可解だった。いや、諸々の原因は数えあげることは出来たが、その諸々の原因そのものが本来なれば胸の火をより燃え熾からしむべき薪である筈だった。