Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゅうしまつ

十姉妹

山本 勝治

Lesen Sie 十姉妹 (じゅうしまつ) von 山本 勝治 (やまもとかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.110 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

赤穂浪士の様に苦難して百姓達の幸福の為めに闘うのだと勇んで走り廻って居る慎作の、固い決心の様を見ては、どうしても口に出しては攻撃しかねる様だった。それに慎作の演説会場に於ける一種の勇姿も、鳥渡捨てかねる風でもあった。兎も角、父と母との思惑は水銀の様に動き易く難かしく言わば「対立」するところの祖父と慎作との間を、振子の様に行ったり来たりした。

ある日だった。

慎作は帰宅するとすぐ祖父に掴まって、宣告的に言い渡された。

「おい、お前は反対やそうなが、こうなったら背に腹は換えられんさかい、どうせ、肥代にも足らん金や、繭の金で小鳥飼おうと思うのや、今、流行ってる十姉妹な、あれに定めたんや」

慎作は、吐胸をつかれて言葉が無かった。愈々来た……ある決定的な問題が、突然、目前一杯に立はだかった様な気がした。

民衆への救いででもあるのか、或は悪魔の手弄みか、実際この十姉妹の流行は、一時天下を風靡した万年青と同じく、不可解な魅力を以って、四国を発端にして中国近畿、殊に慎作の故郷附近には感冒よりも凄じい伝染力をふるった。この小鳥は、安易な世話と僅少な食餌代とで六十日目毎に幾つかの雛鳥を巧みに巣立させた。