Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
波のよせるごと引く毎に洗われる小石は、ささやかな丸い輝をお互に放して、輝きと輝きとのぶつかるところに知る事の出来ない思いと音律がふくまれて波の引く毎にはささやかな石がお互の体をこすり合わせうなずき合って無窮の自然を讚美する歌を誦して居た。
千世子はこの微妙な意味深い音にききほれてしばらくの間は夢中に、それからさめた時にはこの音にききほれる自分が人間だと云う事は情ない事に思われた。
暗闇の中に物をさぐる様に千世子はどこかにとけ込んでその姿をかくした自分の今まで持って居たほこりをたずね廻った。つかまるものもつかまるものも皆自然に対する感謝と云うものばかりであった。心の中、体の中を感謝のかたまりにして入日の赤くなった空と、満潮に青さのました水面を見まもって、尊い、ととのった芸術的な顔つきをして千世子は時の立つのを知らずに座って居た。
海のひろい胸は刻々にその鼓動が高かまって行った。さっきまで修道女の様なその胸の様な鼓動を打って居た胸は、その一息ごとに世の中のすべての悲しみと嬉しさと幸と不幸をすい、又はく様にたしかにトキーントキーンと打ち始めた。青さはその鼓動の高まると共にまして行った。