Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
「もうほんの一寸……」
といい声で云ってふりかえった。
「あんた達っちゃんて云うんでしょう? 私の名を知ってて?」
千世子は笑いながらそのかおをのぞき込んで云った。
「ええ!」
「私の名も?」
「ええ」
「何ての? いってごらんなさい」
「だって……千世子ちゃんてんだって……」
「マア、ほんとうにそうなの、……可愛い名でしょう?」
こんな事を云って笑い合って小峯についた。青い草の中にまじって白いのや紫のはまぼしいほど咲いて居た。
達っちゃんはすぐかがんできれいなの、きれいなのとつみ始めた。千世子はたんねんにさがして少しずつとって行って時々高い声で、
「達っちゃんて云う方」
とよんで見たりうたをうたったりして居た。
「あのねエ、気をつけないと蛇の穴があるんです、落ちるとあぶないから……」
千世子と一寸はなれて居た達ちゃんは千世子は自分で守って居てやらなくっちゃあならないものと思って居る様な口調で云って居た。
「そう、そんならもし落ちそうになったらあんたが援けて下さる? 蛇が出て来たら貴方に『追って下さーい』って云いますよ、そいでもにげないで来たら貴方が先にかまれなくっちゃあ、いけませんよ」