Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
なりなさってちょうだい」
何でも早くくくりをつけちまう方がいいんだと云う様にまっしかくな目つきをして云った。
「ほんとサ、そんな事は考え物だよ」
にえきらない返事をしたっきり母親は前に長々とうねって居る手紙の字をあっちこっちひろって居た。二人はだまったまんまてんでな事を考えて波の音にまじってひびいて来る小さい子供と女中の笑声をきいて居た。
「阿母さんこんな事しててもあんまり下らないじゃあありませんか、理性の人だって云ってらっしゃるのに迷っていらっしゃる?」
母親はだまったまんま何となく落つきのない目をしてあっちこっちをながめて居た。
「アア、そんならもう面倒くさいから出すのはやめましょう」
云うとすぐ長い手紙をかきあつめて片っぱしから裂き始めた。
厚いまっしろい紙のこまっかくなって行く音はシュッシュッと云う悲しそうなものであった。
「何でもかまうもんか」と思いきった様な目つきをして居ながらうすらさむい様な気持になって居た。
「何にも反古にして惜しいほどの文でもなければそれほどの字でも又やる人でもありゃあしない」
わざとらしい様に千世子は低いこえでこんな事を云った。