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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちよこ

千世子

宮本 百合子

Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

いくどもいくどもお祈りの文句の様にくり返してきかされて居る千世子は自分の部屋に入ってK子のところに手紙を書き始めた。まとまりがつかないで始まり一字が思う様に出て来なかった。

「どうせ一日か二日すれば会うんだから……」

こんな事を思ってうす青のライティングペーパアを原稿紙ばっかりのかみくずかごの中に点を打った様にコロッと一つなげ込んだ。

一番おしまいの紙くずをなげ込んだ時、

「千世子さあーん」

Hが呼んだ。インクにふたをして居ると、

「うたいたいんですよ」

と又どなる。

「行きますからまって……」

手の甲をせわしくシュシュとこすりながら、

「あれひくんです、あれ」

Hがこう云っただけで千世子は Adieu を弾いた。Hの声がいつもより倍も倍もきれいにきこえた。「お天気のせいだ」千世子は斯う思って丸味のあるその声に頬ずりしてやりたいほどに思えた。

ひき終えて二人はかおを見合わせてわけもなくかるく笑った。

「いつも弾いてもいいうただ」

Hはため息をつく様な声で云ったのも気持につり合って居た。

「御仲間に入れて下さい」

源さんが入って来た。

「源さんは私達が二人で居るので不安心に思ってるんだ、そいで又二人で居るのがきらいなんだ、何てんだか……」