Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
源さんはやたらにはしゃいでいやがるHさんをつかまえて指角力なんかして居る中に、千世子は瞳を定めて段々とくらくなって行く外を見ながら、
「ほんとうに男って云うものは簡単な事で安心したり気をもんだりする事が出来るんだ。女は若し自分が片思いにしても思って居る男が外の女と好きそうな様子をして、たった一度位にらみ合いをしたったって、必してそんな事に安心させられるほどのんきな気持をもって居るものじゃあありゃしない。よけいにいろんなこまっかい観察をするんだけれ共」
思うはずじゃあなかったんだけれ共いつの間にか思って居た。
源さんは何だかやたらにうれしかった、すっかり安心したと云うのではなくっても心が軽くなった様に大きい声で話しがして見たい様な気持で居た。
「四国から九州を御へん路して歩きとうござんすねえ」
電車がすいて居たんで千世子ははばからない声で云った。
「随分思いきった……つれてってあげましょうか、私じゃあいや?」
Hさんは斯んな事を源さんとぶつかりっこしながら云った。
「いやじゃあありませんけど……この上なしというほどじゃあありませんわ、貴方今までそんな事思った事ない?」